【特集】コウノトリ育むお米を世界へ

UPDATE : 2020.08.22
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コウノトリ育むお米を世界へ
#01 家元貴司

”すべては米から始まる”
お米は私たちにとって何よりも身近で特別な食だから
「米食うと」自ずと元気が沸いてくる。
「米食うと」思わず笑顔が花開く。
本連載では、沢山の人の「おいしい」を支える人たちの、
これまでの歩みと想いに迫る。

*****

第1回目は、家元貴司(いえもとたかし)さん。
豊岡市役所 コウノトリ共生部/農林水産課 環境農業推進係
兵庫県但馬産「コウノトリを育むお米」。
どこかで耳にしたことはありますか?
食べたことはありますか?
2018年9月、家元さんは「コウノトリ育むお米」を世界に羽ばたかせるため、炊飯器を片手に
地球1周の出張に旅立ちました。
どんなきっかけで家元さんはコウノトリに出会い、何を感じたのか。
世界中を飛び回って何を伝えているのか。少しづつ紐解いていきます。

1度絶滅したコウノトリが再び兵庫県豊岡市の空へ

コウノトリは、体長が1.1m、羽を広げると2mにもなる大型の鳥です。かつては日本各地で暮らしていました。しかし、戦後の高度経済成長に伴う開発によって生息地である湿地や湿田環境の減少、農薬の大量使用などによりエサとなる生きものが激減。ついに1971年、日本の空からコウノトリは姿を消しました。豊岡は最後の一羽の生息地となり、絶滅する前の1965年から「コウノトリ野生復帰プロジェクト」に取組んできました。繁殖は失敗の連続でしたが、1985年に旧ソ連・ハバロフスク地方から幼鳥を譲り受けたことが転機となり、長い苦難の道のりを経て人口飼育から25年目の春、初めてのヒナが誕生しました。その後は、コウノトリを再び日本の空へ帰すための取組みも始まりました。約半世紀に渡って取り組んだプロジェクトにより、2005年、46年ぶりに自然界に放鳥されたコウノトリが再び豊岡の空に舞戻ってきました。

地鳴りのような大きな歓声とともに

2005年、家元さんは豊岡市広報担当時代にコウノトリ自然放鳥の特集を担当。

豊岡市民を中心に約3000人が歴史的放鳥を見守りました。放鳥された瞬間に地鳴りのように大きな歓声があがり、その瞬間に鳥肌がたったと家元さんは話します。『自分が生まれる前に姿を消したコウノトリが目の前で飛んでいる姿をみて、歓声多さにこれほど地元の人がコウノトリの帰りを待ち望んでいたのか』と。そこから関心のなかったコウノトリに対して、見方が変わりました。その後は広報を4年間担当し、色々な取材をしていくなかで生産者の熱い想いを直に感じていきました。

その後….
2009-2010 コウノトリから少し離れ、横浜市役所経済局ものづくり支援課で2年間の派遣研修を行う。

2011 帰任した経済部で豊岡市の経済政策を担当。その際に地域の食材を活かした経済政策を担当し、「コウノトリ育むお米」の経済政策に初めて関わる。

2012-2013 商社で国内営業と海外の輸出入を勉強。

2014-現在 帰任後、豊岡市役所農林水産課で*流通政策を専任担当。(7年目)
*流通政策・・・生産の現場から消費されるその瞬間まで、消費する意義までをトータルで作っていく役目を担っています。

「コウノトリ育むお米」生産開始当初は変わり者扱い

2003年から、わずか0.7haの面積でコウノトリ育むお米の生産がスタート。コウノトリは大食漢で1日に約500gのエサを食べます。肉食で魚類をはじめ、カエル、ヘビ、バッタなど生きた小動物をエサとします。普通の田んぼでは、農薬を使い、生き物を駆除します。しかし、コウノトリを野生復帰させるためには、田んぼにコウノトリのエサとなる沢山の生き物がいなければなりません。そこで、「コウノトリ育む農法」では減農薬もしくは無農薬でお米を生産しています。

当時は、無農薬で米を作ることに賛同する人はほとんどいませんでした。しかし、2005年にコウノトリが放鳥され、「コウノトリが暮らしやすい”環境 に良い農業”をやっていかないといかん」という声で、それを支える有志が集まり徐々に生産面積も増えていきました。

世界観を伝えていく

お米の生産は順調に伸びていく一方で販売先が少ない状況。2007年頃から、地元JAと市は本格的にコウノトリ育むお米を全国に流通させる協同体制をとっていきます。家元さんが着任した頃は、地元スーパーを中心に試食販売を実施するなど販路開拓も手探り状態でした。

この先販売先を増やしていくためには、1つのブランドとして単に売り込んでいくのではなく、コウノトリ育むお米の「ストーリーや世界観」を伝えていくことが大切だと家元さんは考えました。直接、全国各地に足を運び、「コウノトリ育むお米」のファンを着実に増やしていきました。

家族との約束が、世界を駆け回る家元さんの背中を後押し

(写真右:家元氏 香港量販店にて)

2015-2017 国内販売が順調に伸びていくなか、家元さんは海外で羽ばたく準備をするため、国内を駆け回り事業者との交渉の日々。その頃、難病を患っていた家元さんのお母様が倒れ、生死を分ける手術が続いていました。病床のお母様との約束は『世界のどこかにこのお米を待っている人がいる、振り返らずに行きなさい』。

そして、2015年7月ミラノ国際博覧会、同年10月のアメリカ、2016年1月のシンガポールなど、家元さんは現地との交渉にも1人で臨みました。 

(ロサンゼルス 日本食レストランエキスポにて)

『以前、亡き父親と無農薬でコウノトリ育むお米に挑戦したが、失敗。生産者の偉大さを身をもって知った。自分は生産者の匠にはなれないが、世界中にコウノトリ育むお米やこの取り組み広める覚悟を決めた。』           
父と夢みた「俺たちの田んぼにコウノトリが舞い降りる姿」を見せることは叶わなかったが、家元さんの活躍は届いていることだろう。

戦わない。世界中に仲間作り戦略

(写真中央:家元氏 大手量販店 経営陣との交渉通訳)

海外の展示会では、何度も取組みや商品背景を説明しても、ほとんど響かなかったと振り返ります。家元さんの想いとクロージングまでの距離があまりに遠く、高すぎるハードルがいくつもあったのです。現地の人に響かなかった理由は、そもそも米食文化のないところに提案しても関心がないこと、食べ方や保管の仕方、価格のズレなどがあり、とにかく課題が山積みだったと家元さんは話します。

そこで家元さんが取った行動は、日本食レストランに炊飯器片手にひとり、1軒1軒ノックして説明をするというものでした。『体制も財政もロットも引けを取っている産地だからこそ、世界の競合と戦わず、共感者を味方につけていく仲間づくり戦略。まさに未来へメッセージを送る活動していかなければならない』と。

ときには、「アジア人の物売り」「公務員はこんなことで海外出張費が出ていいね」など言われたこともあったそうですが、取組みと家元さんの人柄を信じての取引が徐々に増えていき販売数量も右肩あがりで伸びていきました。

2016年、2年にわたり交渉を続けていたニューヨークでようやく採用が決まりました。初めてのビジネスベースでの輸出です。その後2018年、家元さんは地球一周の出張に出ます。北半球と南半球を飛び越えて1ヶ月間、コウノトリ育むお米を支える全ての人の想いと共に世界を駆け回りました。そうして少しづつ販売先が広がっていきました。家元さんは自分の足で世界中に仲間を作っていったのです。

『私は公務員なので、毎年人事異動の可能性があります。行政の仕組み上、単年度計画から決算していくため、1年の短期決戦で結果が出なければ、次の話はできない。毎日が全力勝負で日々の積み重ね』。家元さんの、「コウノトリ育むお米」の世界進出は、さらなる高い目標に向かって今も進み続けています。

先代から受け継いだまちを、より良い自然環境にして、次世代にバトンをつなぎたい

(左写真:小学校給食風景/右写真:農家さんによる授業風景)

豊岡市内にある約40校の小中学校では給食にコウノトリ育むお米を使用しています。そのきっかけはなんと、小学生自ら市長へ『私たちの給食に出して欲しい』という直談判がきっかけでした。それから毎年、家元さんをはじめとする市職員と生産者が市内の学校に出前授業を行っています。そこではコウノトリ育むお米を食べる意味と、お米を食べる大切さ、地元豊岡での取組みを子供たちに知ってもらうことが大きな目的です。

最後に家元さんは、こうおっしゃっていました。

『大人になって人生の岐路にたったとき、”豊岡に戻る選択肢”を作りたい。豊岡には素晴らしい農業がある、かっこいい仕事なんだということを子供たちに知って欲しい。』

先は見えないけど、決して思考を止めない

withコロナもアフターコロナも、正直先は見えていないと話す家元さん。『1年ごとに目標は立てるが、その延長線上に今いるかと問われるとそうではない。日々の積み重ねと、関わらせてもらっている人達との交流があって今がある』

『今後も、豊岡の取組みとコウノトリ育むお米の魅力を伝えていくことに変わりはなく、今は気持ちを温め続けておく。いけるときにいく、やれるときにやる。ただそれだけ』             

ライターのひとりごと

当社と家元さんとの出会いは約5年前。家元さんに初めてお会いしたときの印象は”とにかくパワフルで熱い人”。豊岡とコウノトリ育むお米を心から愛し、誇りに思っているのが全身から伝わってきました。家元さんからコウノトリ農法についてのストーリーは何度も聞いていましたが、実際に豊岡但馬を訪れてコウノトリが田んぼに舞い降りる姿をみたときは涙がこぼれました。1度日本の空から消えたコウノトリ、半世紀かけて復活を願い続け、まち全体で環境改善に取組んで実現させた豊岡市。その熱量は私たちには計り知れないものだと思います。本当に素晴らしい場所です、ぜひ皆さんも1度豊岡を訪れてみてください。

青森県内でのコウノトリ育むお米の知名度も徐々に上がってきています。当店では、コウノトリ農法に賛同するお客様も多く、縁起も良いことから結婚式の引き出物や出産祝いなどギフトとしても非常に高い需要があります。

「食べる健康、食べて貢献」
それが「コウノトリ育むお米」。コウノトリ育む農法を実践する生産者、ストーリーや食べる意味を全力で伝える人がいる。そして、そのお米を食べてくれる人がいてこの物語は成りたつのではないでしょうか。皆さんも、この物語に参加しませんか。

今回取材させていただいた家元さんに心をコメて感謝します。

(写真左:家元氏 コメクート三沢店にて)   

「食べる」貢献

コウノトリ育むお米の消費が増えれば増えるほど、コウノトリ育む農法の田んぼが増えます。そして田んぼで暮らす多様な生き物もイキイキすると、たくさんのコウノトリが自然界で暮らすことができ、「食べる」ことが環境への貢献と繋がります。

コウノトリ育む”お米の特徴”

コウノトリ育むお米は、『コウノトリのエサを増やす』という明確な目的のもと、「コウノトリ育む農法で」農薬や化学肥料に頼らず、栽培・収穫が行われています。できる限り自然のままを追求した安全・安心の田んぼで、生産者が愛情を注ぎ、人と自然に優しいお米です。

”やわらかく粘りが強い”

やわらかく粘りが強い食感と、しっかりした甘みで時間がたっても食味がほとんど低下しないお米です。炊き上がりが美味しいのはもちろん、炊き上がりから時間が経っても”食味の変化がほとんどない”ことも大きな魅力。ご家庭の炊飯器の場合、目盛りより少し多めの水で炊くことをオススメします。

*****

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